Archive for 2016年10月29日

視野を広げて見ました

だいぶ前の話ですが、「木の漢字のネタが尽きてきました」
なんてお話をしました。確かに弊社で扱っている木の種類
だけを見れば限界があります。でも辞書や本を調べて
見ると「木」の漢字はたくさんあるので、おもしろいネタは
まだありそうです。地道に勉強して参ります。

しかし今回はちょっと視点を変え、「木」にこだわらず
工場全体を見てみました。

例えば、集成材の製造工程には原材料の木と木を
「つなぐ」ところから始まります。真っ先に思い付いたのが

「繋ぐ」

という字だったのですが、調べて見ると「つなぐ」の意味を
持つ漢字はたくさんあるのです。

  • 系(ケイ)・・・つなぐ、つながる「山系・直系」
  • 紲(セツ)・・・牛馬などを縄でつなぐ。罪人をつなぐ「縲紲」
  • 絡(ラク)・・・つなぐ、つながる、続く「連絡」
  • 維(イ)・・・・つなぐ、ささえる「維持」
  • 縶(チュウ)・・つなぐ、しばる、とらえる
  • 繫(ケイ)・・・つなぐ、しばりつける、つながる「繫留・連繫」
  • 纍(ルイ)・・・つなぐ、連なる「纍纍」
  • 羈(キ)・・・・つなぐ、おもがい(馬具の一種)

材料を「つなぐ」のはどの字を使えばよいのでしょう……?

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最終関門

工場内の作業工程はいくつもありますが、自分が入社して
最初に携わったのが「梱包」でした。製品をダンボールで包む
のですが、単純そうに見えて奥が深い!既製品の板状のものから
複雑な形状をした変わり種まで、限られた時間の中で
素早く、きれいに梱包しなければなりません。また、最終工程
という事で「検品」の作業を兼ねています。近年、お客様の目が
非常に厳しくなっている中、現在梱包に従事されている
皆さんには本当に頭が下がります。

「梱」

もともとの意味は「しきみ」という門の内外の区画を設ける
ためのもの、です。「困」に木組みをしてものを遮蔽するという
意味があります。「閫」という字があり、字義は同じです。

「梱包」のように使うのは、「梱」に「竹や柳で編んだかご」
「包装した荷物、またそれを数える語」という意味があるからです。
ちなみにこれは日本語の用法です。

「検(檢)」

もともとは「封検」と言って、古代、束ねた書簡の中を
見られないようにする封印の意味がありました。
また「規則・規範」を表す字でもあり、その規範に
沿ってしらべる事が検査・検品です。

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秋の味覚=トンカチ

「椎」

秋の味覚「シイタケ」。ブナ科の常緑高木「シイノキ」。

「しい」と読むのは日本語独自の読み方(『国訓』と言います)で
「ツイ・ズイ・スイ」の音を持っています。意味は

①物をたたく道具、つち
②うつ、たたく

”つち”は「槌」「鎚」。いわゆるトンカチ・ハンマーですね。

トンカチは「トントン・カチカチ」の擬音語から出来た言葉で
カナヅチ(金槌)の事。両方とも一般的な呼び方です。

ホームセンターに行くと大工道具コーナーにカナヅチは
置いてありますが形状の違うものがあります。
頭の片側が平らで、反対側がとがっていたり、釘抜きが付いているもの。
頭の両側が平らで、よく見ると平らな面と少し丸くなっている面を
持っているもの。この形状のものを

「げんのう(玄能・玄翁)」

と言います。その昔玄翁和尚が石を砕いたのに
用いた事から名付けられたと言われています。

げんのうとカナヅチの違いはその形だけなのか?
これについてはもう少し勉強したいと思います。
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「本」は何から・・・

読書の秋ですね。読みたい本はたくさんあって見つけるとすぐ
買うのですが、なかなか読まない……。集中し始めれば
一気に読んでしまうのですが、大抵の場合読んでいると
眠たくなる……。まさに「積ん読」の状態です。

ところで「本」という漢字、何かに似ていると思いませんか?

実は「本」は「木」から生まれた漢字なのです。

img_2770←が「本」の古代文字です。
「木」の下部に点「・」を加えて「木の根もと」
を表し、のちに「書物・ほん」の意味を持つ
ようになりました。

img_2771←今度は木の上部に点「・」を加えました。
「末」という字の古代文字です。
木の末端→こずえを表します。

「こずえ」は「梢」とも書きます。この他にも
「梶」「槙(槇)」「標」「櫂」「表」
これらの字も「こずえ」の意味を持っています。

さあ、今日はどの本を読もうかな……。

「あき」について

以前「楸」(シュウ)という字を少し紹介しました。

今回はだんだん気候もそれらしくなって来たので、「秋」
についてです。
「秌」「%e7%a7%8b%e7%95%b0%e4%bd%93%e5%ad%972」「%e7%a7%8b%e7%95%b0%e4%bd%93%e5%ad%971」「龝」「穐」   全て「あき」です。

漢字の成り立ちにはいくつかの説があります。

①古代において「かめ(龜・亀)」の甲羅を「火」であぶって
占いが行われ、そのかめは「あき」に捕獲された。
また「あき」には「禾(穀物)」の収穫もあるため
禾+龜+火=%e7%a7%8b%e7%95%b0%e4%bd%93%e5%ad%972=秋で季節の「あき」を表す。

②禾は穀物。龜はいなごなどの虫の形。収穫の前に
穀物についた虫を火で追い払い、これが伝統的な
儀礼となり、季節の「あき」を意味するようになった。

ちなみに「秋」の甲骨文字(古代文字)はこんな形です。

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読書の秋。秋の夜長に漢和辞典などいかがでしょう?